「隊長!!ここはいったいどこなのですか?」
「うむ、おそらくここは、世界中のだれもがいまだ踏入ったことのない土地だな、たぶん…」
「そっそんな!そのような場所があるのですか!しかも日本に!」
「なに、するとここは日本なのかい?」
「絶対そうです!間違いありません!分かりませんが!」
そんなトンチ話しに花を咲かせながら、隊員達はひたすら歩いた。会話の上では努めて明るく振舞っていたものの、体力の疲労はピークを達していた。しかし、この人達の精神状態もずいぶん困ったところまで達していたので、そこは特に気にしませんでした。
すると案の定、隊員のひとりが気が狂ってしまいました。しかも運悪くその人は、隊長自身だったのです。
「きっとどこかに水があるはずだ!私たちはきっと助かる!」
気の狂った隊長にいくら勇気づけられても、その他の隊員達にはありがた迷惑な話です。なぜなら、ついさっきデニーズでたらふく飯を食ってしまったので、だんだん探検のこととか、隊長のこととか、将来のこととか、家族のこととか、ビデオの予約のこととかが面倒くさくなってきてしまったからです。
「ここだけの話だけど、うちの隊の隊長、前の仕事で64人も病院送りにしたそうだぜ」
「ああ、知ってる、本当は65人だけどね」
こいつは、日本いち声の大きい男だったので当然隊長の耳にも入ってしまいます。
「君達はいったい、何てことをいうのかね!」
「すいません、悪気はなかったんです。」
「本当は63人だけどね」
「それじゃあ、やっぱり隊長…」
「どうりで、こんな部隊にいるわけだ…」
「たしかに」
ちなみに隊員達がうろついていたのは東京からでも日帰りできる日光だった。